バックナンバー 第161回~第170回
第161回 心が熱くなる本を読みたい人にオススメ
図書館司書 野々村 佳緒里
私のオススメ
『エンディングドレス』
蛭田亜紗子著
ポプラ社 2018年6月発行
“ドレス”と聞くと華やかな場面を思い浮かべる場合が多いと思いますが、これはエンディングドレス“死に装束”に関するお話です。
夫に先立たれた主人公は、ロープを買いに出かけた手芸店で「週末」ではなく、「終末」の洋裁教室の受講生募集の貼り紙を見つけ通い始めます。そこには、先生と個性豊かな3人のおばあさんが。
主人公が夫との思い出をふっと思い出すところなどは、読んでいてとても胸が熱くなりました。しかし、この洋裁教室の仲間との関係に触れるととても温かくて優しい気持ちになれます。
思い切って知らない世界に飛び込んでみたり、少し面倒に思える新しい人とも出会いも、やはり大切にしたいなと感じた作品でした。
第162回 忙しい人にオススメ
図書館司書 藤岡 千秋
私のオススメ
『お茶が運ばれてくるまでに~A Book At Café~』
時雨沢恵一 著
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス文庫 2010年1月発行
短時間で読めることをうたい文句にした「時短本」と呼ばれる本が増えていると新聞に載っているのを目にしました。誰もが忙しい今の時代、時間を損にせず、面白いかどうか短時間でわかる作品が売れ筋のようです。今回はそんな今の時代に合った本を選んでみました。
この本はタイトル通り、お茶が運ばれてくるまでの短い時間で読める絵本です。勇気をもらえる話や切なくなる話、大切な人に会いたくなる話など、全18篇が収録されています。面白いかどうかは読んだ皆さん次第ですが、心に響いて、感動したり、ほっとする話がきっと見つかると思います。
第163回 昔を旅したい人にオススメ
図書館司書 北井 由香
私のオススメ
『ふるさと再発見の旅 -中国地方-』
産業編集センター 2021年3月発行
あなたのふるさとは、どんなところですか?そこでは、どんな歴史や物語が紡がれてきましたか?そんな言葉から、この本は始まります。内容は、タイトルそのもので、昔が残る街並み、風景を紹介したものです。島根で紹介されているのは、「吉田」「鵜鷺」「平田」「柿木」どの土地も昔が残る良い所です。私は、ここ近年、そういう場所がすごく好きになりました。昔の風景、町並み、建物それらに郷愁を感じるのです。住んだことも行ったこともないのに…。
先日、この本でも紹介されている「鵜鷺」に行きました。今までも何度となく訪れた場所なのに、今までとは全く違った気持ちで眺めました。時が流れて建物が変わり、町並みが変わり、風景が変わる中で、変わらない場所があるというのは、本当にすごいことだと実感するようになりました。
以前、映画監督の錦織監督が言われた「新しいものは、いくらでも創ることができる。でも、100年経ったものを創るには100年かかる」その言葉が今も私の中にずっとあります。この本は、その思いをさらに強くするものでした。おススメの1冊です。
第164回 一味違う推理ものが読みたい人にオススメ
図書館司書 細田 乃愛
私のオススメ
『サイレントヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻』
佐藤青南著
株式会社宝島 2017年2月発行
取調官といえば言葉を使い誘導して自供を引き出すのが普通ですが、この小説の主人公の楯岡絵麻は言葉ではなく行動心理学を用いて取り調べをします。
彼女は容疑者の表情、仕草など無意識に発せられるサインで嘘を見抜くため取り調べの成功確率はほぼ100%、警視庁内では「エンマ様」と呼ばれ恐れられています。
部下であり助手の西田圭介は行動心理学には疎いですが腕っぷしには自信があり知力が武器の楯岡とは良いコンビです。楯岡が度々西野に対して解説をしているので、行動心理学に詳しくない方でも読みやすいと思います。
二人の掛け合いには刑事ドラマでよくある漫才のような部分もあるのでそこも魅力の一つです。行動心理学×推理ものに興味がある方はぜひ読んでみてください。
第165回 「家族」とはどんなものか知りたい人にオススメ
図書館司書 藤岡 千秋
私のオススメ
『彼らが本気で編むときは、』
荻上直子原作
百瀬しのぶノベライズ
パルコ出版 2017年1月発行
生まれながら男・生まれながら女でないと夫婦には、家族にはなれないのか。今までの固定観念が覆ります。新しい家族の在り方をこの本で感じてみてください。
第166回 どんでん返しが好きな人にオススメ
事務室 Fさん
私のオススメ
『後悔と真実の色』
貫井徳郎著
株式会社幻冬舎 2012年10月発行
サスペンス系の小説を読み漁っていた頃に、貫井徳郎さんに出会いました。どの話にもどんでん返しがあって、個人的には期待を裏切らない作家さんです。
この話は、連続猟奇殺人を追う刑事の話で、警察のリアル(?)な内部事情が描かれています。 この作品にももちろんどんでん返しがあって、最後には思いもよらない結末が待っていますよ。
分厚い本ですが、続きが気になって一気に読めます。 貫井徳郎の沼に一緒にはまってみませんか??
第167回 オトナの恋愛指南を受けたい人にオススメ
事務室 吉村事務部長
私のオススメ
『紫文式 都々逸のススメ』
柳家紫文著
株式会社創美社 2007年9月発行
私が東京在勤の頃、友人の紹介で柳家紫文さんと初めて会い、一献を傾けたのは、今から10年以上前のことです。あの頃はごくたまにではありますが、笑点にも出演しておられました。当時の出し物は「長谷川平蔵・・・」(多分ご存じないと思いますが・・・)
都々逸には元来、ふたつのタイプがあります。すぐに〝くすり〟と笑えるもの(〝ゲラゲラ〟はいけません)と、う~んと感心して頷くものです。この本には、紫文さんの目で、そんな二つのタイプが頃合いよく散りばめられています。そして紫文さん独特の軽妙な語り口の解説が付いています。
この本を読んだ方は、きっと私と同様に、紫文さんと都々逸、両方の粋の真髄を味わっていただけることでしょう。
第168回 「働くってこと」をよく考えてみたい人にオススメ
事務室 石川美和
私のオススメ
『苦しかったときの話をしようか』
森岡毅著
株式会社ダイヤモンド社 2019年4月発行
「職業を決めた瞬間にほぼ年収は決まってしまう」話や「自分自身をブランド化して面接官に選ばれる確率を上げる」話なども興味深いが、まずは第5章を読んでほしい。今では大物ビジネスマンとなった筆者も新入社員時代からの数年は苦労の連続だったことを知ると親近感が湧いて、ちょっと難しいキャリア戦略の話もすんなり納得できる。
みんな最初は新人で、その「できない自分」を乗り越えて昨日よりも成長していこう、スタートラインは誰しもそんなものだと思って自分らしい道筋を見つけていってほしい。
第169回 何でも後回しにする人にオススメ
おはなしレストランライブラリー 尾崎 智子
私のオススメ
『「後回し」にしない技術 ー「すぐやる人」になる20の方法ー』
イ・ミンギュ著 吉川南訳
文響社 2021年1月発行
第170回 星を眺めるのが好きな人にオススメ
おはなしレストランライブラリー 内田 絢子
私のオススメ
『ときめく星空図鑑』
山と渓谷社編
山と渓谷社 2012年8月発行
探せませんでしたが、少しずつ自分で星座を見つけられるようになり、もっと星や星座について知りたくなりました。
この本では、天体観測に役立つ知識や天文学の歴史、星座にまつわる神話など、様々なアプローチから星に親しむことができます。ただ星を眺めているだけでも綺麗で心が安らぎますが、歴史や神話などを知ると、より星を眺めるのが楽しくなりますよ。
それぞれの星座が観測できる時期や時間も載っていますので、まずは今の時期に観測できる星座のページを読んで、夜空を見上げてみてはいかがでしょう?