バックナンバー 第91回~第100回

第91回 答えの無い問いに深く潜り込んでいくのが好きなあなたにオススメ

オススメ本
  図書館 学生アルバイト 村上翔太
  私のオススメ
   
『たまご』
   ガブリエル・バンサン作
   BL出版  1986年10月発行

 捉え方は読み手次第。
 世代の垣根を超え読者に訴えかける、正真正銘の「絵」本。
 今回は絵本のご紹介。皆さん、絵本読んでますか?
 「本は活字が多過ぎて見たくない!」
 「絵本か、どうせ子供っぽい内容でしょ。」
 そう思ったあなた。気持ち、非常に分かりますよ。
 そして!そんなあなたにこそご紹介したい本がコチラ『たまご L’OEUF』という作品になります。
 この絵本、見た目は非常にシンプルです。表紙にはタイトルと大きな卵が一つ。絵も配色は白と黒だけ。非常にシンプル。
 文章に至っては一切登場することはありません。ですので、あらすじを紹介することもできません。どういう物語かを定めるのは、私たちの想像力に委ねられているからです。
 どうでしょう、どんな絵本か気になってきませんか?
 ちなみに、私が最初にこの絵本を読み終えた感想は「怖い」でした。
 この絵本を開けてみたくなった方は、ぜひ図書館へ。

第92回 春から新しい環境で頑張るあなたにオススメ

オススメ本

  図書館 学生アルバイト 岡野 凛
  私のオススメ
  『ギフト』
  原田マハ著
 
 ポプラ社 2021年1月発行 

 早いものでもう3月になり、あっという間に卒業シーズンとなりました。大学を卒業して春からは社会人として働く方も、学年が変わり新たな環境で学生生活を送る方も、春からの新生活に漠然とした不安を感じる事もあるのではないでしょうか。そんな時におすすめしたいのが、この『ギフト』です。この本は、日常生活で抱く些細な心のモヤモヤを、温かく溶かしてくれるような力があります。
 一つの物語はたったの数ページ。私たちの日常に潜む、小さな幸せを描いた短編集です。家族や友人、恋人や仕事仲間など、様々な人間関係のなかで生まれる物語はどれも優しい世界観でつつまれていて、読んでいると自然と前向きな気持ちになれる一冊です。
  どこか不安な気持ちになった時、何かに悩んでいる時、ぜひこの本を手に取ってみてください。春から新たな事に挑戦するあなたに、心からおすすめする『ギフト』です。もし良かったら、受け取ってください。

 

第93回 本が、書店が大好きな人にオススメ

オススメ本
  図書館 学生アルバイト 福田倫世
  
私のオススメ
   『桜風堂ものがたり』
   村山早紀著
   PHP研究所 2016年10月発行 

 百貨店内の書店に勤める物静かな青年、月原一整は、人付き合いは苦手な反面、埋もれていた名作をみつけ光を当てることから、「宝探し」の愛称で店長からも信頼を置かれていた。しかしある日、店内で起こった万引き事件をきっかけに、一整は店をやめることになってしまう。傷心の一整は、かねてより交流を持っていた「桜風堂」という書店を営む老人を訪ね、桜野町を訪れる。一整が見つけた「宝もの」、もとい一冊の本を巡り、友人・同僚・作家…様々な人が一緒になって、ある奇跡を巻き起こす、「地方の書店」の奮闘を描いた感動の物語。
 涙が流れるかもしれない、けれど、悲しい涙ではありません。美しく小さな町の、桜に囲まれた小さな書店に、あなたも足を踏み入れてみてはいかがでしょう?
 

第94回 奇妙な話が好きな人にオススメ 

オススメ本
  図書館 学生アルバイト 生駒美怜
  私のオススメ
   『死体ばんざい(星新一YAセレクション〈1〉』
   星新一著
   理論社 2008年8月発行 

 これは「ショートショートの神様」と呼ばれる星新一さんの短編集で、たくさんのシリーズがあります。以前から「死体ばんざい」という不気味なタイトルが気になっていて、やっと読むことができました。
 この本には「死体ばんざい」以外にも「影絵」「才能」「品種改良」など、様々なお話があり、読んでいて飽きません。
 また、ちゃんと読み込んでも理解できず苦しくなることがありますが、読むたびに様々な疑問や新しい発見があります。どのお話もシュールで面白いし、いろいろと考えさせられる部分も多いので奇妙な話が好きな人にはぜひ読んでほしい一冊です。

 

第95回 まっすぐに頑張りたい人にオススメ 

オススメ本
  図書館 学生アルバイト 嶋田光紗
  私のオススメ
  『舟を編む』

  三浦しをん著
  光文社   2011年9月発行

 「右」についてみなさんはどのような説明をしますか。小説内では「体を北に向けたとき、東にあたるほう」と主人公は言います。当たり前に存在している言葉をその言葉そのもの以外で紡いでいくのはとても難しいことです。言葉の海は広く果てしない、この小説はそんな大きく広い言葉の海を渡す舟となるような辞書を編んでいく物語です。
 玄武書房の営業部に所属していた馬締はある日、彼の持つ言葉に対する知識や意欲を買われ辞書編集部に異動することに。そこには新しい辞書「大渡海」を作るべく日々奮闘する人々がいました。日常で出会った言葉を蓄積していく用例採集をはじめ、辞書のデザイン、どんな紙質が快適に使ってもらえるかなど、様々な辞書編纂の工程を通して辞書の魅力に引き込まれます。また、言葉だけでなく人間関係も、相手と上手くかみ合わず悩むこともあれば運命の誰かとの出会いを果たすかもしれない、何が起こるかわからないからこそ楽しくて難しいものかと思います。
 不器用ながらもさまざまな言葉、人間に向き合いながらまっすぐに辞書完成を目指す登場人物たちの姿に自分も感化され、背中を押される作品です。

 

第96回 今なにかに悩んでいる人にオススメ 

オススメ本
  図書館 学生アルバイト 岡野凛
  私のオススメ
  『ナナメの夕暮れ』

  若林正恭著
  文藝春秋   2018年8月発行

 先月最終回を迎えたテレビドラマ、「だが、情熱はある」(日テレ系)。みなさんはご覧になりましたか? ドラマ内で描かれていたのは2人の芸人、オードリー・若林正恭と南海キャンディーズ・山里亮太が、「若者」から「大人」になるまでの半生。そしてそのうちの1人、オードリー・若林が書いた3冊目のエッセイこそが、この『ナナメの夕暮れ』です。
 “恥ずかしくてスタバで「グランデ」を頼めない”、“ゴルフに興じるおっさんはクソだ!”。世の中を常に斜に構えた態度で “ナナメ” に見てしまう若林が、いかにして自分や社会と向き合ってくのか。彼の葛藤と変化が詰まった一冊となっています。
 笑いあり、共感あり、学びあり。芸人であり、著者でもあり、ひとりの人間である若林正恭から、何気ない日々を肯定しながら生きていくためのヒントがきっともらえるはずです。あなたに響く言葉がきっと見つかるはずです。
 「なにかと気になる事や悩み事が多い…」そんなあなたに心からオススメできる一冊です。ぜひご一読ください。

 

第97回 この夏、沖縄気分を味わいたい人にオススメ 

オススメ本
  図書館 学生アルバイト 福田倫世
  私のオススメ
  『ホテルジューシー』

  坂木司著
  角川書店   2017年9月発行

 いよいよ始まる夏休み、どこか旅行に行かれる方もいるのではないでしょうか。せっかくの休暇ですから、普段はできない思い出を作りたいものです。そうは言っても「課題が終わらない」「追ってくる就活の圧」「今日も明日もバイト三昧」……なかなか遊ぶ時間が作れない……。そんなあなたに、家にいながら夏の沖縄気分を味わえる素敵な本をご紹介します。
 大家族の長女に生まれた、天下無敵のしっかり女子「ヒロちゃん」こと柿生浩美18歳。夏休みを有効に埋めるため石垣島の宿でバイトをすることに。ここならやっていけるかも!と思った矢先、ヘルプとして派遣された那覇のゲストハウス・ホテルジューシーは、いつもと相当勝手の違う「テーゲー(沖縄のことば。程々の良い加減に生きていこうという意味。つまりアバウト。)」なホテルだった。昼夜二重人格のオーナー代理、沖縄的テーゲーを体現する双子のおばあちゃん清掃係、訳アリだらけのお客たち。規格外の職場で翻弄されながら、ヒロちゃんの夏は過ぎてゆく…?共感間違いなしの日常ミステリです。
 ヒロちゃん奮闘の日々の中、南風に乗って私たち読者にも運ばれてくるのは、沖縄の風景、おいしそうな料理、小さな謎。そして普段の生活でつい忘れてしまっているような、大切にしたい言葉たち。あなたも『ホテルジューシー』で、ひと夏の思い出を作ってみませんか?

 

第98回 ぞわぞわしたい人にオススメ

オススメ本
  図書館 学生アルバイト 生駒美怜
  私のオススメ
  『噛み合わない会話と、ある過去について』

   辻村深月著
   講談社   2021年10月発行

 私たちが記憶している美しく、楽しい思い出は本当にそうなのでしょうか?自分の中ではそうでも、他の人の記憶の中では全く違うかもしれません。そういうことは人と関わる上で珍しくありませんが、この本にはそういう人間関係の黒い怖さが濃く描かれているので、読んでいくうちにどんどん居心地が悪くなります。
 また、自分にも同じことが起きていたら…と思うとゾッとするし(いい意味で)、読んだ後に感じるどうにもならない感がなんとも言えません。
 最後の最後までぞわぞわが止まらない傑作なので、ぞわぞわしたい人はぜひ読んでみてください。

 

第99回 新しい世界がたくさん見たい人にオススメ

オススメ本
  図書館 学生アルバイト 嶋田光紗
  私のオススメ
  『超短編!大どんでん返し』

   小学館文庫編集部 編
   株式会社小学館 2021年2月発行

 1話が2000字、4ページで完結する30篇の「どんでん返し」がテーマの短編集。どんでん返しが起こるストーリーが詰まっていて詳細に言ってしまうとネタバレになってしまいますのでいっぱいは語れませんが、特に好きだった作品を2つ紹介します。握手会でお目当てのアイドルに会った主人公とアイドルの会話が描かれる「なんて素敵な握手会/乾くるみ」、探偵が一人の作家と昨日起きた事件について会話する「your name/青崎有吾」私はこの2つが特に好きでした。お手に取られた方はどの物語が好きか、もしよければ教えてください!
 2000字だからこそあっという間に惹き込まれる物語や2000字だからこそ読み取れなくて何度も読み返して理解できる物語、様々な物語に出会うことが出来ます。ここから気になった作家さんの作品を読み始めるきっかけにするのもありなのではと思います。様々な新しい世界に出会える1冊ですので、ぜひ読んでみてください。