バックナンバー 第71回~第80回
第71回 学生アルバイトおすすめ本
図書館 学生アルバイト 上田 晴加
私のオススメ
『シアター!』
有川浩著
KADOKAWA/メディアワークス文庫 2009年
主人公は小さな劇団を運営する「春川巧」。ある日突然劇団員の半分以上がやめてしまい、劇団が300万円の借金を抱えていたことを知ります。団長にもかかわらずそのことを知らなかった巧は、兄の司に泣きつきます。今までも似たようなことで巻き込まれてきた司は、「2年間で劇団の収益のみでの借金完済」を巧に突きつけます。今まで学生のサークルのようなノリで来ていた劇団員が利益を上げられる団体としての劇団に成長していくまでを追った物語です。
私がこの本に初めて出会ったのは高校の頃で、その頃は、巧のことを「なんてだらしない大人なんだ」と思っていました。就職を見据えて、大人に近づいている今改めて読んでみると、巧がとても勇気のある人だという印象に変わりました。借金がきっかけとはいえ自分の実力を信じて生きていくと決意することは並大抵のことではないと思います。自己PRが書けずに悩んでいる私にとってとてもまぶしく映りました。今将来に悩んでいる人、一歩踏み出す勇気が欲しい人に是非読んでほしい一冊です。
第72回 学生アルバイトおすすめ本
図書館 学生アルバイト 高村 未羽
私のオススメ
『嫌われる勇気:自己啓発の源流「アドラー」の教え』
岸見一郎、古賀史健著
ダイヤモンド社 2013年
ここ数年注目されているこの本を皆さんは聞いたことはありますか?この本はアドラー心理学という、アルフレッド・アドラーという人が20世紀初頭に創設した新しい心理学をわかりやすく説明している本です。例えば「なぜ劣等感を感じるのか」など、人々が生きていく中で感じる悩みやそれを乗り越える方法をこの本の中では説明しています。
心理学と聞くと勉強のように感じて手を出すのをためらってしまう人もいるかもしれませんが、この本は生きていく中で人が感じやすい悩みを題材にしているため、自分の中で共感しやすい題材が見つかるはずです。この本を機に心理学を少しでも学んでみませんか?
第73回 学生アルバイトおすすめ本
図書館 学生アルバイト 野津 成美
私のオススメ
『TOKYO STYLE』(ちくま文庫)
都築響一著
筑摩書房 2003年
90年代の東京に暮らす人々の部屋を映した写真集。部屋の写真の横には部屋主についての短い解説が添えられている。本書で登場する部屋のほとんどが大量の物で埋め尽くされておりお世辞にも整った部屋とはいえない。しかし、ついじっくり部屋の荷物を眺めながら持ち主の人柄を想像してしまう。部屋に置かれた品々も当然90年代のレトロな雰囲気そのままである。ある部屋主の本棚に漫画『AKIRA』が置かれており、これが『AKIRA』をリアルタイムで追っていた人の部屋か!と感激してしまった。友達の部屋に訪れた際に本棚をつい覗き込んでしまうタイプの人や、90年代の雰囲気が好きな人に是非おすすめしたい一冊。
第74回 学生アルバイトおすすめ本
図書館 学生アルバイト 野村 星歌
私のオススメ
『秘密のスイーツ』(ポプラポケット文庫)
はやしまりこ著
ポプラ社 2013年
主人公村田理沙は自らの体型にコンプレックスを持つ小学6年生の女の子。しかしお菓子は大好き。そんな彼女は母親の携帯を手に家出を試みます。向かった先は近所の神社。人通りが少なく絶好の隠れ家です。しかし母の携帯が鳴り出し慌てた理沙は境内の柱に空いた穴に携帯を隠しました。
家に帰ると携帯を無くして大騒ぎする母の姿が…。理沙は自分の携帯から母の番号にかけてみると出たのは中森雪子という女の子でした。しかし雪子は1944年に生きる女の子でした。理沙は操作方法を教えて1944年の風景などをとってもらい、携帯を柱の穴の中に返して貰いました。母の携帯と引き替えに理沙は現代のお菓子を向こう側の世界に送るのでした。
このお話はこんな風に始まります。昔懐かしいお菓子や好きなお菓子を傍らに読むのも良いかもしれません。
第75回 学生アルバイトおすすめ本
図書館 学生アルバイト 上田 晴加
私のオススメ
『阪急電車』
有川浩著
幻冬舎 2008年
京都や大阪、神戸を通る阪急電車を舞台とした物語です。電車が停まる駅の順番に沿って物語が進み、それぞれの駅によって主人公が異なります。主人公たちはそれぞれに悩みを抱えており、電車での出会いによって解決へと向かいます。電車が往復して戻ってくると、前半で登場した主人公がもう一度出てきて、その後を知ることもできます。主人公は高校生や大学生、社会人、おばあちゃんなど様々で、誰が読んでも感情移入しやすいのではないかと思います。
この本を読んで、人にはそれぞれ物語があるのだなと感じました。電車に乗る人は、何か目的があって電車に乗ります。電車という狭い空間の中にこれだけの人の人生が詰まっていて、その全員が何かを目指して電車に揺られているのです。自分と関わりがないひとだらけなので、自分が生きている世界は狭いなと思わされます。電車に乗る人全員と関われるとは思いませんが、自分が見えている世界が全てではないということは肝に銘じておきたいです。
私は阪急電車という電車を知りませんでしたが、この本に出てきた駅や景色がどれも魅力的で、実際に見てみたくなります。今行くのは難しいので、この本を読んで気分だけでも味わってみてください。
第76回 学生アルバイトおすすめ本
図書館 学生アルバイト 高村 未羽
私のオススメ
『浜村渚の計算ノート』
青柳碧人著
講談社文庫 2011年
皆さんは数学は得意ですか?私は苦手です。 では、皆さん数学が授業から無くなればいいと思うことはありますか?この本はそんな数学が授業から無くなった世界の推理小説です。
舞台は、数学が軽視されている世界。それに反発した数学団体「黒い三角定規」は催眠術を使い人々に数学に対する意識を植え付け、あらゆる事件を巻き起こします。そんな彼らを捕まえるために立ち上げられたのは警視庁の特別対策本部でした。しかし、催眠術を受けていない人しか入れず、入れたとしても数学が苦手なひとしかいません。そんな中、救世主としてやってきたのは中学2年生の女の子でした。
この作品は上記に書いた通り、数学がメインのお話となっています。しかし、出てくるものは全て分かりやすく噛み砕かれており、数学が苦手な人でも分かりやすくなっています。
高校までの授業で分からなかったから苦手だ。という人も、数学の話を読んでみたい。という人にもおすすめの本です。
第77回 学生アルバイトおすすめ本
図書館 学生アルバイト 野津 成美
私のオススメ
『今日も一日きみを見てた』
角田光代著
KADOKAWA/角川文庫 2017年
一見恋愛小説のようなタイトルですが、猫との生活を綴ったフォトエッセイです。角田家の猫のトトちゃんが可愛い!
エッセイの中で、猫と暮らした事がなかった時期を猫紀元前BC(before cat)、猫と暮らし始めてからを猫紀元後AC(after cat)と表現しており、トトとの生活で変化したことが丁寧に綴られています。猫と暮らす日常を疑似体験しているような感覚で優しい気持ちになりました。ボーナストラックとしてエッセイの後に猫にまつわる短篇小説も収録されています。
BCの皆さんも、すでに猫にメロメロの方も角田家のトトに癒されてはいかがでしょうか。
第78回 学生アルバイトおすすめ本
図書館 学生アルバイト 野村 星歌
私のオススメ
『ちょっとだけまいご』
クリス・ホートン著
BL出版 2012年
思わずにこにこしながら読んでしまう絵本クリス・ホートンの『ちょっとだけまいご』
巣から落っこちて迷子になったチビフクロウ。リスが駆け寄ってきて一緒にお母さんを探してくれます。でもお母さんの特徴を聞いたリスが連れて行ってくれた先は・・・?
絵本を閉じる直前まで笑わせてくれる、隅から隅までかわいらしい絵本です。すぐに読み終わるので課題の合間にぜひ。でもかわいい要素は絵の中にも隠れています。一緒にお母さんを探してみてください。
第79回 学生アルバイトおすすめ本
図書館 学生アルバイト 上田 晴加
私のオススメ
『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』
若林 正恭著
KADOKAWA 2017年
お笑いコンビ・オードリーの若林さんのエッセイです。芸人としては、相方の春日さんへのツッコミや独特の空気感で人気ですが、お休みがあると一人で旅行に行くのが趣味だそうです。
今回のエッセイでは、キューバ旅行が題材となっています。キューバは北アメリカと南アメリカの間の海・カリブ海に浮かぶ熱帯の島国で、ビーチ・リゾートや石畳の旧市街があり、明るく穏やかな国民性の国です。社会主義国で、スペインの植民地支配を受けていた背景からスペイン風の建築が多く存在します。2014年にそれまで断絶していたアメリカとの国交を回復したばかりで、治安も良く、1970年代の雰囲気を残した国だそうです。
資本主義、学歴社会、同調圧力、マウンティングといった日本のしがらみから離れて一人キューバへ旅立つ作者は、日本とはかけ離れた価値観や社会制度、現地の人、雰囲気に触れ、作者ならではの書きぶりでエッセイは進みます。芸人・若林正恭だけでなく、一旅行者としての作者から見たキューバがどう映るのか、帰国して改めて見る日本はどうなのか、自分の生き方を見直したくなる一冊です。
第80回 学生アルバイトおすすめ本
図書館 学生アルバイト 高村 未羽
私のオススメ
『変な家』
雨穴著
飛鳥新社 2021年
春と言えば、引越しの季節でもありますね。大学進学して一人暮らしを始めたという人も少なくないのでは無いのでしょうか。そんな一人暮らしを始める時、皆さんはどういった基準で部屋を選びますか?立地や値段も大切ですが、何より部屋の間取りも大切ですよね。
この本『変な家』はそんな間取りに注目した小説となっています。 まずは表紙の間取りを見てみてください。一見普通の家のようですが、じっくり見ると何やら普通の家とは異なる場所が数ヶ所あります。それがなぜあるのか、なぜそんなふうになっているのか。そんなことを考えながら読み進めていってください。
また、この本は小説と言うよりかはインタビューを読んでいる感じに近く、文字数が少ないこともあって短時間で読み切れる作品なので、時間があまりない人にもオススメです。