バックナンバー 第61回~第70回
第61回 学生アルバイトおすすめ本
図書館 学生アルバイト 野村 星歌
私のオススメ
『“文学少女”と死にたがりの道化(ピエロ)』
野村美月著
KADOKAWA 2006年
元・覆面美少女作家の井上心葉(このは)くんと、本を食べちゃうくらい愛している文学少女・天野遠子先輩。シリーズ一作目は単なる恋文の代筆依頼だったはずが、太宰治の人間失格をベースに進んで行くミステリーに。
本編の中で遠子先輩の話す文学の世界は“お腹がすいちゃうくらい”魅力的。きっとこの物語を読めば本を“味わいたく”なるはず。
第62回 学生アルバイトおすすめ本
図書館 学生アルバイト 上田 晴加
私のオススメ
『活版印刷三日月堂 星たちの栞』
ほしおさなえ著
ポプラ社 2016年
皆さんは活版印刷で出版された印刷物を見たことがありますか?活版印刷はプリンターが普及する前に行われていた印刷の方法で、一つ一つの文字を「活字」と呼ばれる小さなハンコのような物を使って印刷していきます。このような方法で印刷された文字にはプリンターでは生み出せない独特の存在感があり、見る人の心を引きつけます。
この本に登場する弓子さんは、父が亡くなった後に祖父母が川越で営んでいた活版印刷所「三日月堂」を受け継ぎます。町の人たちの依頼で栞やコースターを作っていく弓子さんと町の人たちの様子を描いた物語です。活版がおりなす優しくて温かい世界に浸ってみてください。
第63回 学生アルバイトおすすめ本
図書館 学生アルバイト 梶田 陽香
私のオススメ
『変身』
フランツ・カフカ著、高橋義孝訳
新潮社 1952年
ある朝、目が覚めると、自分が巨大な虫に変わっていたという、衝撃的な事実から始まるこの作品。なぜ自分がそのような姿になったのか、原因は不明のまま、主人公・グレーゴルは日々を過ごしていきます。眠って忘れようとしても身動きがうまく取れず、家族から話しかけられても人の言葉が話せなくなっているので返事ができません。グレーゴルはこれからどのようになってしまうのでしょうか。家族に知られてしまったら?知られたとして、その先は…?カフカの独特な雰囲気に包まれながら淡々と話は進みます。
『変身』は、カフカ自身の状況が反映されているなど、様々な考察がなされています。考察は読書の楽しみ方の1つであると思うので、ぜひカフカの世界を楽しみ、自分なりの考察をしてみてはいかがでしょうか。
【出典表示】フランツ・カフカ著、高橋義孝訳『変身』(新潮文庫刊)
第64回 学生アルバイトおすすめ本
図書館 学生アルバイト 高村 未羽
私のオススメ
『天久鷹央の推理カルテ』
知念実希人著
新潮社 2014年
日本には多くの怪奇現象が存在しています。河童や雪女、人魂など……しかしこの中には、人が故意に作ったものとして正体を見破ることが出来るものがあります。その謎を解くのが、この『 天久鷹央の推理カルテ』という本です。
舞台は大きな総合病院。主人公はとても頭が良く、病院内では変わり者としてあまり周りの医者から好かれていない天久鷹央と、鷹央に振り回されてばかりの部下である小鳥遊の2人です。2人は『統括診断部』という診療部で働いていて、そこには他の科が匙を投げた患者たちが相談に来ます。相談の内容は「突然赤ちゃんを身ごもった」という女子高生など、現実世界ではありえないと言われているものばかり。しかし、そんな不思議な出来事にも様々な病気が隠れていたのです。
この本をおすすめする理由として2つあります。1つ目は、1話1話が短く読みやすいということです。この本はシリーズ作品となっていて何冊も出ていますが、中身を見ると1冊に約5人分の物語が存在していて、1人終わる事に章が変わっているため短編集のように区切りながら読むことが出来ます。
2つ目は、医療ミステリーの中でも分かりやすいという事です。医療ミステリーと聞くと「難しい単語ばっかりになって難しそう」と感じる人もいると思います。この本は確かに難しい単語が説明を行う時に出てきますが、その後に会話などで分かりやすく伝えているため、理系の科目が苦手な私でも理解できるほど分かりやすくなっています。
また、作者の知念実希人先生は医師免許を持っており、実際に病院で働きながら小説を書いていたこともあり、普段だったら知る機会の少ない病気などにも詳しくなれます。中々外出する事が難しいこの機会に、新たな知識を得るのはいかがでしょうか?
【出典表示】知念実希人『天久鷹央の推理カルテ』(新潮文庫刊)
第65回 学生アルバイトおすすめ本
図書館 学生アルバイト 野津 成美
私のオススメ
『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ―』
森下典子著
新潮社 2008年
タイトルは「にちにちこれこうじつ」と読みます。これはお茶の言葉で「毎日が良い日」という意味です。この本には、著者が茶道を習い始めて感じたことや日々の出来事が自伝エッセイの形式で綴られています。お茶を通して四季の移ろいを感じることや、日々の喧騒から離れ心を空にして、自分自身と向き合うことの大切さを教えてくれる一冊です。筆者の視点を通して茶道を体験することで、タイトルに対する感じ方も変わるかもしれません。茶道の用語については、作中で分かりやすい説明がされるのでお茶を習ったことがないという人にもおすすめです。
【出典表示】森下典子『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ―』(新潮文庫刊)
第66回 学生アルバイトおすすめ本
図書館 学生アルバイト 上田 晴加
私のオススメ
『クラスメイツ』
森絵都著
偕成社 2014年
舞台は北見第二中学校の1年A組です。今年新1年生として入学した24人のクラスメイト一人一人の視点で、一年間を追っていくという構成になっています。クラスの盛り上げ役の男子、真面目すぎる女子、頭が良くてスポーツもできる男子、女子3人組など、「こんな子いたな」「私こんな感じだった」という子がたくさんいます。
小学生ほど子どもではなく高校生ほど大人にはなれない、1年A組の教室を覗いてみませんか?懐かしくてあたたかい気持ちになれると思います。
【出典表示】偕成社ホームページ『クラスメイツ』(2020.12.1確認)
URL:https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784038144103
第67回 学生アルバイトおすすめ本
図書館 学生アルバイト 梶田 陽香
私のオススメ
『シャーロック・ホームズの冒険』(新潮文庫刊)
コナン・ドイル著、延原謙訳
新潮社 1989年
言わずと知れた名作、シャーロック・ホームズシリーズの第1短編集です。幅広い知識を持ち、並外れた推理力を持つ個性的なホームズと、ホームズを支える助手のワトスンとが繰り広げるストーリーは目が離せません。10編ある事件の展開は想像もつかず、我々読者の読む手を止めることはないでしょう。
何度読んでも飽きることはないこの作品、1度読んだことがある方もそうでない方も、ぜひ19世紀末のイギリスという舞台上での2人の世界に、浸ってみてはいかがでしょうか。
第68回 学生アルバイトおすすめ本
図書館 学生アルバイト 高村 未羽
私のオススメ
『ラリルレ論』
野田洋二郎著
文藝春秋 2015年
皆さんは「君の名は。」や「天気の子」を見たことはありますか?そしてその音楽を聞いたことはありますか?この本はこの映画の音楽を全て担当したバンドRADWINPSのボーカル、野田洋次郎さんが書いたエッセイです。バンドを結成した日や初めてのツアー、そしてドラムの活動休止などRADWINPSにまつわる出来事や、野田洋次郎のソロ活動illionや映画の主演について幅広く書かれています。
映画で知った人も、見たことない人もぜひ読んでみてはいかがでしょうか?
第69回 学生アルバイトおすすめ本
図書館 学生アルバイト 野津 成美
私のオススメ
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
フィリップ・K・ディック著、朝倉久志訳
早川書房 1977年
荒廃した地球を舞台に繰り広げられるこの物語にはSFの楽しさが詰まっている。放射性の灰に汚染された地球では人々は火星に移住し、残された人々の間では希少な存在となった「生きている動物」を飼うことがステータスとなっていた。主人公のリックは、人工の電気仕掛けの羊しかもっていない。リックは、本物の動物を手に入れるために火星から逃亡してきた人間に限りなく近い知能を持つアンドロイドたちと対峙する。アンドロイドたちにかけられた莫大な懸賞金をリックは手に入れることができるのだろうか?また、アンドロイドと人間を分けるのは何なのか?
SFならではの、アンドロイドや精巧な人工の動物たちが登場する世界観にも注目だ。
第70回 学生アルバイトおすすめ本
図書館 学生アルバイト 野村 星歌
私のオススメ
『風の天使(エンジェル):心の扉が開くとき』
倉橋燿子作、佐竹美保絵
ポプラ社 2005年
周りの目を気にしてしまい自分の意見を上手く言葉に出来ない主人公・沙也果の前に現れたのは風の様に自由な風子。その姿に沙也果も沙也果のクラスも変わっていく。
小学生の頃、図書室でこの本を見つけて何度も読み返しました。主人公沙也果の性格に共感する人、沙也果の性格が嫌いだという人に綺麗に別れる事もあるので、読んだ後の感想を聞くのも楽しい作品です。大人になった今でも、風子の自由ながらも周りをよく見ている人柄の良さに惹かれます。