地域 × 国際交流
地域 × 国際交流
ブータンのごみ問題について
ブータンの青年たちと地域の方々を巻き込み、 ゴミ問題について考えました!
隠岐郡海士町で行われたJICA※のブータン青年研修プログラムに参加し、私たち学生が設定した「ゴミ問題」をテーマに、その解決方法の提案や意識向上を目的としたプログラムを企画・実施しました。 現在ブータンでは、街のいたるところでゴミが不法投棄されており、大きな社会問題となっています。 この問題に対して、日本で行われてきた様々な活動を紹介し、解決策を提案することによって、ブータンでの実行計画を作成するヒントになればと思い、このテーマを設定しました。 このプロジェクトを通して、ブータンや海士町の地域の方々など多くの方にご協力いただき、地域と世界はつながっていることを実感しました。 この他にも、地域と世界が一つになれる魅力的な学びがたくさんあるのも、島根県立大学の魅力だと思います。
※JICA/ジャイカとは … 独立行政法人国際協力機構(Japan International Cooperation Agency)の略称。 日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、開発途上国への国際協力を行っている。1日目は、ブータンの方々(多くは公務員)と一緒に研修に参加、東京から海士町に移住し、デザイナーとして活躍されている南貴博さんと、菱浦地区の区長さんのお話を聞きました。 デザインをツールに、自分たちがすんでいる地域の魅力を再発見するワークショップを体験し、視点を変えて物事を捉えてみることの大切さを学びました。
2日目は、ゴミ拾いチームとごみ削減チームにわかれてプレゼンテーションを行い、その後、ゴミ拾いとスポーツを組み合わせたアクティビティを行いました。チームに分かれて、ごみの収集量をゲーム感覚で競い合いました。地域の方々も気軽に参加でき、ブータンでも容易に実施ができる取り組みとして、大変喜ばれました。
3日目は、今回のプログラムの良かった点、課題について振り返りました。その後、2年前から交流のある多井地区の方々に近況報告しました。また、海士町の産業文化祭に参加し、海士町で活躍されている様々な方と触れ合うことができました。
(写真は2日目のアクティビティの様子。)
仕掛け人たちに聞く「ちいき」「せかい」「みらい」
みんなでカタチにした今回のプロジェクトを、仕掛け人たちそれぞれの視点にスポットを当てて眺めてみました。
1 田中さん
このプロジェクトを通して、日本とは異なる文化を持つ人たちにとって、何が「当たり前」で何が「自分たちと異なるのか」を、異文化というものをどう捉えるか、自分たちだけで考えることは難しく、クリアにするのには非常に苦労しました。 プロジェクトで行ったごみ拾いとスポーツを組み合わせたアクティビティはブータンの方々には大好評で、自分たちもとても楽しみながら活動できたことが一番印象に残っています。 相手の当たり前のとらえ方の違いにより、目指すゴールが変わることを知れたので、これからは、明確な目的までの過程も、しっかりとした計画を立てながら達成できるようになりたいと思います。
2 岩見さん
自然豊かな海士町での活動を通して、まちが綺麗であることは、地域愛や住民同士の関係性が影響することに気がつきました。 自分の身近にあるものを大切にし、近くに住む人と支え合う「共助」の関係性を作ることで、住みよい暮らしをつくれることを学びました。 この学びから、「豊かさ」について学びたくなり、経済学や社会学といった勉強に、より一層力を入れるようになりました。 私が所属するゼミは、毎年、夏季休暇になると海士町に清掃活動のお手伝いに参加しており、大好きな集落の皆さんに会え、たくさんの学びを得られることが楽しみです。
3 佐藤教授
この海士町―ブータン―JICA―大学をつなぐ連環は、途上国の国づくり支援の経験を日本国内の地域づくりに生かし、その知見を国際交流と地域活動に参加する学生が学び、実践する「実践知のリレー」という点で、教育的な意義があると考えています。 プロジェクトに参加した学生は、海士町現地でフィールドワークを行うと同時に、ブータンの環境問題についても文献・資料調査を行い、さらに研修プログラムの企画・実施でも主導的役割を担いました。 研究上の手法習得だけでなく、実務的なスキル向上、現地の人々と触れ合う中でのみ得られる心の成長も遂げたのではないかと思います。 今後も海士町とブータンとのつながりを大事にしながら、活動を継続する予定です。
4 浦辺さん
アクションプランを作成するにあたり、日本のごみ問題やごみ問題に対する様々な活動を調べていきました。その中で、自分たちも環境に対する危機意識が生まれ、日常生活の中でごみの分別に気を付けるようになるなど、とても良い学びとなりました。 ごみ問題に対してしっかりと問題意識を持ってプロジェクトに参加できたからこそ、ブータンの方々にも内容がしっかりと伝わり喜んでくださったと感じています。 今回の研修では、ブータンの方だけでなく多くの海士町の方々にも調査にご協力いただきました。この縁を大切にして、今後も海士町で活動をしていきたいと思います。
5 森原さん
私は本プロジェクトを通して、実用性がある提案をすることの大切さを学びました。 提案をしてもそれが法律や社会制度、価値観などにより実現できなければ意味がありません。 価値観は同じ日本人でも一人一人異なります。提案内容の前提となる価値観を事前に共有することは、実用的で説得力がある提案をするために重要だと感じました。 本プロジェクトでは、価値観を共有するためのワークショップをしたり、社会制度に関係なくできる個人レベルの活動を提案し合いました。 実用性の大切さと自分の中の当たり前を見直すことの大切さを今後に活かしていこうと思います。
6 濱中さん
この海士町での研修では、研修員や県大生が学ぶのはもちろん、受け入れる町民や私自身も、交流を通じて多くの気づきを得ています。 今回、地域の人を巻き込んで行ったごみ拾いとスポーツを組み合わせたアクティビティが、海士町でも活かせるものだということ、地区の清掃活動自体が、価値ある文化なのだということは、私にとっても新しい発見でした。 海士町には多くの価値あるリソースがありますが、我々自身がその本当の価値に気づいていません。途上国の研修員と地域の住民、県大の学生さんがともに研修を行い交流することにより、お互いの価値観に気づき、学びあうことが、この研修の一番の目的であり、今後もこのような交流を続けていきたいと考えています。
7 豊田准教授
地域のさまざまな課題の解決策を考えるためには、いろんな視点からアイデアをだしたり、複数の人と協力したり、時にはこれまでの価値観を見直さなければならないこともあります。 このプログラムは、離島の小さなコミュニティーの中で実施しています。 島の人たちにとってみると、ブータン人も学生も異なる文化と価値観を持った「よそ者」です。 この中で一緒にプログラムを行うためには、相手にわかりやすく伝えるコミュニケーション能力のほか、異なる文化を理解する力や、異なる価値観を受け入れる力など、柔軟な対応能力や思考力が必要となります。 異なる多様なひとたちが参加しているため、互いに学び合える場になっていると思います。
8 尾前さん
JICA(国際協力機構)は、開発途上国の支援を行う国の機関です。 途上国が抱える課題は様々であり、解決策も一つではありません。県大生や、地元の職人さんがJICA研修の一部を担当したことで、社会を見る多様な論点、その論点を解決する多様な知恵を得ることができ、結果として非常に満足度の高い研修になりました。 様々な方が関わることで、解決策の幅が広がるということが今回の研修で証明されたと考えており、今後も県大生と引き続き連携し、多様な視点を積極的に取り入れることによって、よりよい国際協力モデルを共創していきたいです。
ACTIVITY
国際交流
国際関係学部を中心に、海外からの留学生を受け入れ、その留学生との日常的な交流を通して国際的な視野を広げていきます。 また、短期海外研修や長期留学など、多彩な海外プログラムを用意して、現地での実体験、交流によって、国際人としての素養を身につけていきます。
海外研修
主に夏季・春季休暇を利用した、短期(1週間〜約1ヶ月間)の海外研修です。 本学では、大学生活の中での貴重な体験として参加を奨励しています。 海外に行くのが初めての学生でも、安全かつスムーズに研修に参加できるよう、研修前に、渡航先の文化、社会、習慣等について学ぶ機会を設けています。
異文化理解研修
アメリカ、カナダ、中国、韓国、またはロシアの大学で約1ヶ月間、現地の大学生と交流しながら、語学や現地の文化について学びます。
カナダのランガラ大学に行きました。 島根県立大学の学生だけでなく日本各地の大学生や様々な国から来た人たちと一緒に英語を学びます。 たくさんの出会いがある上にホームステイなどを通じて英語を学ぶことができるという本当に充実したプログラムです!
渡利さん〈2021年3月卒業〉 島根県・島根中央高等学校出身
海外英語研修
海外の協定校等で提供される英語学習プログラムに参加し、世界各国から参加している学生と一緒に英語の4技能(聞く、話す、読む、書く)について学ぶことで、 英語運用能力と異文化コミュニケーション能力を高めていきます。 (英語以外にも、中国語、韓国語、ロシア語を学ぶことができる同様のプログラムがあります。)
長期留学
北東アジア圏をはじめ、世界の36大学・機関と交流協定を結んでいます。交換留学等による学生の派遣のほか、海外からの留学生を受け入れています。
海外留学を行う学生全員に海外留学奨学金を給付し、留学を費用面からサポ-トします。
ダブルディグリー制度
ダブルディグリー制度とは島根県立大学と韓国の蔚山大学校でそれぞれ2年間在学し、両大学の学位をそれぞれ取得することができる制度です。 1年次と4年次は本学で、2年次と3年次は蔚山大学校で学修します。 蔚山大学校で専門科目の授業を受講するためには高度な韓国語能力が求められるため、本学では「韓国語特別演習Ⅰ・Ⅱ」を開講して留学前の準備講座を実施しています。
海外実践活動支援制度
個人枠15万円×3人・団体30万円×3団体
ユニークな海外実践活動を大学が応援します。
一人でも多くの学生が海外での「夢の挑戦」、「実践活動」を実現できるよう、学生が計画する様々な海外活動を応援します。 自ら計画する海外活動を通じて、国際的視野を広め、チャレンジ精神、行動力、積極性を養い、さらなる夢への挑戦、留学への動機付けを目的とします。 そして、地球規模の視野で考えて地域視点で活動する、あるいは地域視点で考えて地球規模で行動できる人材を育成します。
活動の事例01
Uターンフェアトレード
タイ山岳民族ボランティアを通じてフェアトレードを学ぶ
私は6日間、NGO財団の元でフェアトレードについて学んできました。 向かった先は3時間の山登りの向こうにある山岳民族の村で、フェアトレード商品を作るお手伝いをしたり、交流をしたりしました。 実際に作っている人達の生活環境を肌で感じ、改めて公正な貿易について考えさせられました。
島瀨さん〈2021年3月卒業〉 愛媛県・宇和島南中等教育学校出身
活動の事例02
日本と台湾の架け橋とは?
台湾での異文化交流を通じて親日国のルーツを探る
私は、なぜメディア等で台湾が親日だと言われているかについて疑問を抱いていました。 そのため、「Global Dream Hunt」に応募し「日本と台湾の架け橋とは?」をテーマに、同じ疑問をもつ仲間と一緒に台湾へ行き、アンケート調査や大学生との異文化交流を行いました。 実際に現地に行くことで、台湾の方々の日本に対する生の声や、日本では学ぶことのできない文化の違いを体験することができました。 また、多くの台湾の友達ができ、台湾の方々の温かさや大学生の生活にも触れることができました。
張さん〈4年〉 福岡県・新宮高等学校出身
地域交流
地域政策学部を中心に、キャンパスを飛び出して、県内外の「地域の現場(フィールド)」へ出向いて、見学、ヒアリング、調査、分析等を行う科目を積極的に導入しています。例えば演習科目でも、指導教員のもとフィールドワークを交えながら学びます。
科目の一例
フィールド基礎実習
県内の農村、漁村地域に合宿して、地域が抱える課題について、観察、体験、調査を行い、解決策を検討します。 実社会に近い環境で課題に取り組むことで、問題発見、問題解決の基本的な姿勢を身につけていきます。
地域理解(国内研修)
県外のまちづくりの先進地に指導教員と一緒に約1週間滞在して、「まちづくりのトップランナー」へのインタビュー、現地でのフィールドワークなどを行います。 地域の特性がどのようにして、活性化に結びついているのか、実践的に理解していきます。
教養ラボ
他学部の学生や県内の高校生と一緒に、興味、関心に基づいて、学生自らテーマを設定して、検討していきます。 色々な人と一緒に学ぶことで、多様な物の見方を知り、より広い視野で自らの専門を見る視座を醸成していきます。 (国際関係学部の学生も履修可能です。)
ゼミの一例
西藤 真一 准教授みなさんの成長の機会を我々は用意し、
全力でサポートします!
私のゼミではプロジェクト形式で活動しています。 プロジェクトのテーマは、空港政策や地域公共交通や観光政策など、学生らの関心に対応して毎年変わります。 テーマは毎年変わりますが、習得すべきスキルは毎年変わりません。 仮説の設定、文献・データの渉猟、論理の構成、プレゼンなど、社会人に必ず求められるスキルを実践的なゼミ活動を通して身につけてもらいます。 外部の関係者へのヒアリングや他大学との合同ゼミなど、みなさんの成長の機会を我々は用意し、全力でサポートします!
ゼミ生の声
私は交通インフラと地域振興に興味を持っています。 ゼミでは地域振興について行政と連携して活動しています。 学生が主体的に取り組むので、自らの意見を述べたり提案する機会が多くなり、積極的なディスカッションのスキルが身につくと実感しています。
倉橋さん〈2021年3月卒業〉 岐阜県・大垣西高等学校出身
私は、萩・石見空港の利用活性化のためのリーフレット作成に取り組んでいます。 作成にあたり、各団体に取材したり商工会議所の方と意見交換したりして、実際に社会で活躍されている多くの方と関わる機会がありました。 単に空港をテーマとした研究にとどまらず、社会人の方の仕事の進め方など学ぶことが多くあると感じています。
浦島さん〈2021年3月卒業〉 広島県・呉宮原高等学校出身
私はゼミで浜田市内を走る路線バスの利用実態について調査しています。 市役所や住民の方と直接お話しする機会やフィールドに出て活動する機会も多くとても充実しています。 ゼミ活動ではタスクの管理や外部の方々との調整など、社会人になってから役立つ知識やスキルをたくさん身に付けることが出来ます!
福間さん〈2021年3月卒業〉 島根県・横田高等学校出身
私はゼミの課外活動を通して地域の方々と関わり、今まで自分になかった考えや価値観を肌で感じることができるようになりました。 また、これまでのゼミ活動で、行動力を身につけることができたと思います。 様々なことに関心を寄せることで、新しい発見ができるという楽しさや人と関わることで得られる活動の大切さを学ぶことができます。
眞殿さん〈4年〉 島根県・平田高等学校出身
地域で活躍する学生
EXAMPLE1
出会った人とのつながりを
成長の糧に
伊藤さん〈2021年3月卒業〉 三重県・神戸高等学校出身
伊藤さんが活動を行うきっかけとなったのは、地域と学生の窓口である「地域連携課」のボランティア案内に興味を持ち、地域活動に参加したことでした。 そこで地域活動の楽しさと面白さを知り、現在は月に1回の地域でのボランティア活動に加え、東日本大震災をきっかけに生まれた全国の公立大学の学生をつなぐ団体「公立大学学生ネットワークLINKtopos」の副代表を務め、 地域社会と距離が近い公立大学の学生が地域のためにできることを仲間たちと模索しています。 高校生の時に抱いていた「何かやりたい」という思いは、大学でボランティアに出会い、地域連携課の支えによって「何か」やりたい、が「地域のために」やりたい、に変化し、彼女の原動力になっています。 活動を重ねる度に、人と出会い、つながることで自分の学びや経験が広がっていく楽しさを実感した彼女は「今後も地域活動を行い、人とのつながりの中で学びを深めていきたい」と話してくれました。
EXAMPLE2
人との繋がりができ、
自身も成長することができます。
岡部さん〈4年〉 岡山県・山陽女子高等学校出身
私は高校時代、JRC部という青少年赤十字の部活動に所属していたこともあり、ボランティア活動に興味がありました。 島根県立大学では地域連携課からの情報などボランティア活動をする学生に対しての支援環境が整っています。 そのため、積極的にボランティア活動に参加することができます。 これまで、こども交流事業、地域の運動会やお祭りなどに参加してきました。 人との繋がりができ、自身も成長することができます。